アシアナ基金は、アフガニスタンのストリートワーキングチルドレンセンター「ASCHIANA」の支援を行っています。
アシアナ基金
アフガニスタンの人々

アフガニスタンチャリティーコンサート帰国報告
1700の瞳に囲まれて


 数十年間にわたる内戦の後、つかの間の落ち着きは、タリバン政権下。音楽はもとより全ての娯楽は禁止され、女子には教育も許されませんでした。そんな生活から皮肉にもアメリカの空爆をきっかけに解き放たれたアフガニスタンの人たち。そこで見たアフガニスタンにはマスコミがあまり報じていない真実の顔が沢山ありました。

 私たちが見たアフガニスタンは、土埃と排気ガスの中で、実にたくましく、元気に、活気にあふれた街でした。目抜き通りは着実に復興の兆しを見せ、ながきに渡った内戦の爪あとを覆い隠そうと、左官職人が壁を作り、ペンキを塗り、道路工事も至る所で行われていました。市内にはフロントガラスに銃弾を受けてひび割れたまま走っている車・バス・海外の政府機関の人間が乗るクーラー付の高級車・バイク・自転車・ロバ・馬があふれ、クラクションのけたたましい音が街中を覆い、失った時間を少しでも早く取り戻そうと必死にもがいているようにさえ感じました。

 しかしその一方、西カブールにおいては、銃弾の穴だらけの壁に、崩れ去った屋根、瓦礫の中の空間に、そこでしか生きていけない人たちの生活。栄養失調の子供を抱いた少女、ブルカに覆われた女性が差し出された、薄汚れた骨と皮だけの手。起こってはいけない事が、何十年間も日常のこととして繰り返されていた狂った歴史と、狂わされた多くの人々の人生が当たり前のように目の前に存在する街がそこにありました。

 そんな街カブールで、チャリティーコンサートを行いました。おそらくタリバン政権崩壊後日本人アーティストが行う最初の試みだと思います。したがって、カブールには借りられる音響機材は基本的には存在しませんでした。我々は奇跡的にもひょんなことから現地のミュージシャンと知り合うことができ、彼が持っている機材を借りることができたのですが、その機材のクオリティーはあえて触れないことにいたしましょう。

 8月29日、午後2時過ぎ、様々な事情で学校に通うことができない子供たち約2000人を受け入れ、識字教育や職業訓練的な教育を行っているアフガニスタンのNGOの「アシアナ」の校庭には850人の子供たちが集まりました。劉 宏軍さんの演奏・カガヤサナエさんの子供向けの舞踏・そして岡野弘幹さんの歌と演奏に子供たちは大喜びでした。音楽にあわせ手拍子を打ち、「イエーイ」との掛け声と一緒に右手を振り上げ、思いっきり音楽を身体で感じて、後半は現地のミュージシャンも加わり、子供も大人も踊り、歌い、開場は興奮の坩堝と化しました。ここにいる子供たちは、私たちの想像を絶する重い過去を背負って今までも、これからも生きていかなければいけない子供たちなのですが、あまりにも美しい純粋な1700の瞳を前に・感動と戦争に対してのやるせない想いから涙腺の弱い私はなみだ目になっていました。

 この子達に、今私たちに何ができるのでしょうか。そんなに多くのことはしてあげられませんが、確実にできることがありました。それは、束の間なのかも知れませんが、音楽を通じて共有できる平和な空間を作ることと、子供たちが音楽に触れていく時間を持てるために、音楽クラスを作ること。そして、そこに必要な楽器や機材を提供すること。少しずつじっくりと腰をすえて、アフガニスタンと向き合うことで、彼らを知り、交流を図り、二度と音楽や教育を取り上げない社会作りを応援することは私たち一人一人のほんの少しの気持ちでできる行動の一つだと思いました。

 今回私たちは、鈴木楽器製作所のご好意で頂いた約2000個の楽器と、同行したメンバーの有志で購入したアフガニスタンの伝統音楽の楽器3点とギターを贈呈するとともに、音楽のクラスを運営してもらうための、音楽教師の一人分の年間人件費1800ドルを支援してきました。






アシアナ基金では、今後もこのサポートを継続していきます。支援ご協力等についてのお問合せは、こちらのページをご覧下さい。



瓦礫の中に洗濯物が干されている
▲瓦礫の中に洗濯物が干されている。
地雷の展示室
▲アシアナの校内にある地雷の展示室。プロペラのおもちゃの形をした地雷の模型。青葉博雄。
地雷注意のポスター
▲地雷のポスター
算数の授業
▲算数の授業。ほかに、アイロン等簡単な工具の修理等、実用的な技術を学ぶ。
職業訓練クラス
▲職業訓練として結婚式用の造花づくりを学んでいる。
食堂の風景
▲食堂で牛乳とパンを食べる子供たち。
ピースコンサートの風景
▲ピースコンサート
演奏する劉宏軍さん
▲劉宏軍
子供と踊るカガヤサナエ
▲子供と踊るカガヤサナエ
岡野弘幹
▲岡野弘幹。アシアナからの贈り物には、バーミアンの遺蹟の絵が描かれていた。
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